タイの所得税率は高い?具体的な計算方法と確定申告のやり方も解説

Hikaru Osaka

タイでの就職や移住、長期滞在を考えたとき、「所得税ってどうなっているんだろう?」「給料からいくら引かれるのかな?」、「タイの個人所得税って高いのかな?」などと疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、タイの所得税の基本から2025年最新の税率、各種減税制度、そして具体的な計算方法まで分かりやすく解説します。確定申告(タックスリターン)の手続きについても解説しているので、タイでの生活を始める方も、すでに滞在中の方も安心です。

また、海外への送金や国際的なお金の管理に便利なサービス、Wise(ワイズ)についてもご紹介します。

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目次 🔖

※本記事の情報は2025年9月8日時点の情報を参照しています。そのため、この内容が正確または、最新であることを表明または保証しません。また、本記事の内容は、あくまで参考情報として作成されています。専門的な意見・アドバイスが必要とされる場合、フィナンシャルアドバイザーやその他の専門家にお問い合わせください。

タイ所得税制度の基本情報

タイの個人所得税(Personal Income Tax:PIT) は、歳入局(The Revenue Department)が管轄しています。まずは、その基本的な仕組みを理解しておきましょう。1

  • 課税年度:課税の対象となる期間は、1月1日から12月31日までの暦年です。
  • 申告期限:所得税の確定申告は、通常、翌年の3月31日までに行う必要があります。
  • 課税対象者:タイの税法では、「居住者」と「非居住者」で課税される所得の範囲が異なります。

居住者と非居住者、それぞれの課税対象所得は次の通りです。

  • 居住者(暦年中に合計180日以上タイに滞在する個人2+3:タイ国内で得た所得(国内源泉所得)に加えて、2024年1月1日以降に得た国外源泉所得をタイに持ち込んだ場合(送金した場合)も課税対象となります。
  • 非居住者:タイ国内で得た所得(国内源泉所得)のみが課税対象です。

所得には給与やボーナスといった雇用所得のほか、事業所得、不動産の賃貸収入、投資による利益(配当、キャピタルゲイン)など、さまざまな種類の所得が課税対象に含まれます。

特に駐在員の場合、タイの所得税を会社負担で支払う契約になっていることがありますが、その会社負担分も個人の所得とみなされ課税対象となる点に注意が必要です。4


タイの所得税率

タイの所得税は高い」と耳にすることがありますが、実際はどうなのでしょうか。タイの個人所得税は、日本同様、所得が多いほど高い税率が適用される「累進課税制度」を採用しています。タイでは、以下の税率が適用されます。(居住者も非居住者も同様。)2+5

課税所得(タイバーツ)税率
0〜150,0000%
150,001〜300,0005%
300,001〜500,00010%
500,001〜750,00015%
750,001〜1,000,00020%
1,000,001〜2,000,00025%
2,000,001〜5,000,00030%
5,000,001〜35%
(2025年9月8日時点の情報を参照)

イの所得税率は最高35% で、日本の所得税よりも低い傾向にあります。さらに、タイには日本のような住民税がありません。

そのため、同じ収入額であっても、住民税がない分タイの方が手取り額は多くなるケースがほとんどです。一概に「高い」とは言えず、むしろ「安い」と感じる人の方が多いのではないでしょうか。

タイ政府は、経済成長を促進するために、特定の条件を満たす高度なスキルを持つ専門家に対して、税率の優遇措置を設けています。

  • 長期居住者(LTR)ビザの高度熟練専門家6: 一律17%の所得税率が適用されます。
  • 東部経済回廊(EEC)ビザ保有者7:対象産業で働く専門家や幹部は、一律17%の所得税率が適用されます。
  • 国際ビジネスセンター(IBC)の従業員8:特定の要件を満たすことで、一律15%の税率が適用される場合があります。
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タイの減税制度

タイの所得税には、控除として認められる様々な制度があり、納税者の負担を軽くすることができます。年間を通じて利用できる主な控除は以下の通りです。1+2

  • 個人控除:納税者全員が受けられる30,000バーツの控除
  • 配偶者控除:所得のない配偶者がいる場合に受けられる30,000バーツの控除(本人と合わせて60,000バーツ)
  • 子供控除:子供1人につき15,000バーツの控除。2018年以降生まれの第2子以降:1人につき30,000バーツ(子供3名まで。)
  • 親扶養控除:60歳以上で年間所得が30,000バーツ以下の親1人につき30,000バーツの控除
  • 生命保険料控除:最大100,000バーツ
  • 健康保険料控除:最大25,000バーツ(生命保険料控除と合わせて上限100,000バーツ)
  • 社会保障基金拠出金控除10:年間最大9,000バーツ
  • 住宅ローン利息控除:最大100,000バーツ
  • 退職金積立基金(RMF)などへの投資控除:課税所得の30%(上限500,000バーツ)など、さまざまな投資控除があります。
  • 慈善寄付金控除:承認された団体への寄付金は、純所得の10%を上限に控除可能。特定の教育機関などへの寄付は2倍の控除が認められる場合があります。

ただし、非居住者に適用されるのは個人控除のみです。配偶者控除、子供控除、教育控除については、対象となる配偶者・子供がタイ居住者である場合のみ適用されます。11

※これらの控除は変更される可能性があります。最新の情報はタイ歳入局の公的サイトをご確認ください。


タイの所得税の計算方法

タイの所得税は、以下の式に基づいて計算されます。

【納税額 = 純所得(課税対象所得 − 費用控除 − 各種控除) × 累進税率】

  1. 課税対象所得の確定:まず、給与や事業収入など、その年に得たすべての収入を合計します。
  2. 費用控除と各種手当・控除の差し引き:次に、合計収入から経費や利用できる控除を差し引いて「純所得」を算出します。給与所得者の場合、所得の40%(上限60,000バーツ)が標準費用として控除されます。4
  3. 累進税率の適用:最後に、算出された純所得に所得税率表を適用して、最終的な納税額を計算します。

では具体例を挙げて計算してみましょう。ここでは配偶者と2人の子どもがいる場合の以下の条件を想定しています。

  • 年間給与収入:800,000バーツ
  • 標準費用控除:320,000バーツ × 40% = 60,000バーツ(上限適用)
  • 個人控除:30,000バーツ
  • 配偶者控除:30,000バーツ
  • 子供控除:30,000バーツ(15,000バーツ × 2名)
  1. 純所得の計算: 800,000バーツ − 60,000バーツ(標準費用控除)− 90,000バーツ(各種控除)= 650,000バーツ
  2. 累進税率の適用
    最初の150,000バーツ:0バーツ(税率0%枠)
    次の150,000バーツ(150,001〜300,000):150,000 × 5% = 7,500バーツ
    次の200,000バーツ(300,001〜500,000):200,000 × 10% = 20,000バーツ
    残りの150,000バーツ(500,001〜650,000):150,000 × 15% = 22,500バーツ
  3. 合計納税額: 0 + 7,500 + 20,000 + 22,500 = 50,000バーツ

タイのタックスリターン制度について

タイで所得を得た個人は、年に一度、所得税の確定申告(タックスリターン)を行う義務があります。タイの確定申告のやり方は、以下の通りです。

  • 納税者識別番号(TIN)の取得12:申告前に地域の歳入局オフィスで、パスポートや雇用契約書などを提示して申請すれば、通常は即日発行されます。
  • 申告フォームの選択13
    • PND 91:収入が給与所得のみの場合
    • PND 90:給与の他に事業所得や賃貸収入など、複数の収入源がある場合
  • 申告と納税:申告はオンラインまたはオフラインで行えます。
    • 申告方法14:歳入局のe-Filingシステムを利用したオンライン申告が最も便利です。これにはタイの所得税の自動計算機能も備わっています。地域の歳入局オフィスで書面を提出することも可能です。
    • 申告期限13:通常は3月31日までです。オンラインで申告する場合、オンライン申告は通常4月上旬まで延長されますが、年度により日にちは異なります。

申告が遅れたり、内容に誤りがあったりすると罰金が科される可能性があるため、正確な申告を心がけましょう。

タイは日本を含む61カ国と二重課税防止協定(DTA)を締結しています。これにより、日本など国外で得た所得に対して、タイと日本の両方で課税されることを防げます。国外で納税した証明などを提出することで、税額控除などの軽減措置を受けられる場合があります。15

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タイへの移住や生活費をお得に節約できる:Wise(ワイズ)

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タイ移住では想像以上に日本からの送金が必要になります。TIN取得後の税務手続き資金、コンドミニアム契約の初期費用、ビザ申請料などの送金が必要になるでしょう。

従来の銀行送金では毎回数千円の手数料に加え、為替レートに隠された3〜4%のコストが上乗せされています。100万円の送金なら3〜5万円も無駄なコストが発生してしまうのです。16~18

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まとめ

この記事では、タイの所得税制度について、累進課税の仕組みから各種控除、確定申告の方法まで解説しました。タイでの納税を正しく行うには、ご自身が税法上の「居住者」にあたるかを把握し、利用できる控除をしっかり活用することが大切です。

海外での生活には、税金だけでなく国際送金など、お金の管理が重要になります。Wise(ワイズ)のようなサービスを利用すれば、日本とタイの間での資金移動にかかるコストを大幅に節約できます。タイでの生活をより豊かにするために、本記事の情報とあわせて、ぜひWiseを検討してみてください。

タイの所得税に関するよくある質問

タイと日本は二重課税ですか?

いいえ、通常は二重課税にはなりません。日本とタイは「租税条約(二重課税防止協定)」を締結しているためです。この協定により、一方の国で納税した場合は、もう一方の国で税金の控除や免除が受けられ、同じ所得に対して二重に課税されるのを防ぐ仕組みになっています。手続きには、納税証明などの書類が必要になる場合があります。

タイの所得税はいくらですか?

タイの個人所得税は、所得に応じて税率が変わる5%から35%の累進課税です。そのため、納税額は個人の所得額や利用できる控除によって大きく異なります。例えば、課税所得が100万バーツの場合と300万バーツの場合では、適用される税率が異なり、納税額も変わります。ご自身の正確な納税額を知るには、所得から各種控除を差し引いて計算する必要があります。

タイに移住すると所得税はどうなりますか?

タイに暦年(1月1日〜12月31日)で合計180日以上滞在すると、税法上の「居住者」とみなされます。居住者になった場合、タイ国内で得た所得だけでなく、国外で得てタイに持ち込んだ所得も課税対象となります。滞在日数が180日未満の「非居住者」の場合は、タイ国内で得た所得のみが課税対象です。

タイのワーキングホリデー(ワーホリ)では所得税はかかりますか?

2025年現在、日本とタイとの間にワーキングホリデー協定はありません。また、どのビザで滞在して働く場合も、タイでの滞在日数が暦年で180日以上になる場合は「居住者」とみなされ、タイ国内の所得に対して、本記事で解説した累進税率が適用されます。詳しくは、本文の「タイの所得税率」のセクションをご参照ください。

Wiseデビットカードはタイ生活のどのようなシーンで役立ちますか?

Wiseデビットカードは、タイでの様々な支払いシーンで手数料を節約するのに役立ちます。例えば、以下のような場面で便利です。

  • 日常の買い物:スーパーやレストラン、ショッピングモールでの支払いに利用でき、実際の為替レート(ミッドマーケットレート)と格安の両替手数料で決済できます。
  • 現金の引き出し:現地のATMからタイバーツを直接引き出すことができます。月2回・合計30,000円までの引き出しなら手数料は無料です。
  • オンラインショッピング:タイのECサイトなどでの支払いにも使え、外貨決済手数料を気にせず利用できます。
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ソース

  1. Personal Income Tax | The Revenue Department (English Site)
  2. Thailand - Individual - Taxes on personal income
  3. How do foreigners living in Thailand pay tax?
  4. Personal Income Tax | The Revenue Department (English Site)
  5. TIES 2025 - Thailand
  6. Royal Decree Issued under the Revenue Code Governing Reduction of Tax Rates and Exemption of Taxes (No. 743) BE
  7. Cabinet approves 10-year-long EEC visa
  8. Thailand - Corporate - Tax credits and incentives
  9. Thailand - Individual - Deductions
  10. Taxation of international executives: Thailand
  11. Section 38_64 | The Revenue Department (English Site)
  12. Tax Identification | The Revenue Department (English Site)
  13. Personal Income Tax Return 2023
  14. e-Service | The Revenue Department (English Site)
  15. Double Tax Agreement (DTA) | The Revenue Department (English Site)
  16. 外貨でのショッピング利用における手数料改定のお知らせ | 三菱UFJ銀行
  17. 外貨でのショッピングご利用に伴う海外事務処理手数料改定のご案内|クレジットカードの三井住友VISAカード
  18. 各種サービスにおける手数料改定および徴収に関する詳細
  19. Wiseホームページ
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Hikaru Osaka
2025年8月11日 6分で読めます

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