アメリカ法人税|税率・州別比較・改正点と日本との違い【2025年完全ガイド】

Hikaru Osaka

アメリカで事業を行うなら、法人税の仕組みを正しく理解しておくことが重要です。アメリカでは連邦法人税+州法人税という二層構造が採用されており、日本とは大きく異なります。

この記事では、2025年の最新税率・改正内容・州別比較を中心に、申告や計算の基本をわかりやすく解説します。

また、海外送金や外貨管理のコスト削減に役立つWise(ワイズ)についても紹介。Wiseなら実際の為替レートでお得に送金でき、米ドル口座での受取も手数料無料です。

Wise(ワイズ)アカウントについて 💡

目次 🔖

アメリカ法人税の基本構造

アメリカの法人税は、

  • 連邦法人税(全国一律)
  • 州法人税(州ごとに異なる) の2種類で構成されています。

2025年現在の連邦法人税率は一律21%。これは2018年に施行された「Tax Cuts and Jobs Act」¹によるもので、以前の最大39%から大幅に引き下げられました。2025年の「One, Big, Beautiful Bill Act」²でもこの税率の維持が決定しています。

一方、州法人税は州によって異なり、

  • カリフォルニア州:約8.84%
  • ニューヨーク州:7.25%
  • フロリダ州:5.5%

など。テキサス州やネバダ州など0%の州も存在します。⁴

また、事業内容に応じて給与税・固定資産税・販売税(Sales Tax)など他の税金が課される場合もあります。

アメリカ法人税率の推移と2025年改正

法人税率は長年30〜40%台でしたが、2018年以降は21%が継続。2025年以降も当面変更予定はありません。³ ⁵


アメリカ法人税率・実効税率と推移

アメリカの連邦法人税率は一律21%。これは2017年のTax Cuts and Jobs Act(TCJA) による引き下げで、以前の最大39%から変更されました。⁵
ただし、控除・繰延べ・州税の有無などにより、実際の負担(実効税率)は企業ごとに異なります。

期間税制主な税率
1993〜2017年累進課税15〜39%
2018年〜現在一律税率21%

国際的に見ても21%は主要国と同水準で、日本の法人税率(23.2%)とも近い値です。

国名法人税率
イギリス19〜25%⁶
フランス25%(条件で15%)⁷
ドイツ15.825%⁸
日本23.2%(中小15〜19%)⁹

アメリカではこれに州法人税が加わり、ミネソタ州9.8%、イリノイ州9.5%、カリフォルニア州8.84%などが上位。一方でテキサス州・ネバダ州・ワシントン州などは0%ですが、「フランチャイズ税」が課される場合もあります。⁴

日本も地方税を含めた実効税率は約30%で、アメリカとほぼ同水準です。¹⁰

2025年改正(OBBBA)の影響

2025年7月4日、トランプ大統領がOne, Big, Beautiful Bill Act(OBBBA)に署名。TCJAの優遇措置を恒久化し、連邦法人税率21%の維持設備投資・R&Dの即時償却が継続されました。

また、海外源泉所得の課税軽減も維持され、一定の控除により実効税率は低めに算定されます。¹¹

さらに、米国はOECD主導のPillar Two(グローバル最低税)に参加せず、米企業に有利な制度を継続する方針です。¹²


アメリカ法人税申告書(Form 1120など)と期限

米国企業は通常、Form 1120(U.S. Corporation Income Tax Return) で法人税を申告します。外国法人はForm 1120-Fを使用する場合もあります。¹³ Form 1120では1年分の所得・損失を報告し、課税所得×21%−控除額=納税額を計算。IRS(内国歳入庁)へ電子申告します。

主なスケジュール¹⁴

  • Schedule C:配当など特別所得・控除
  • Schedule J:税率・外国税額控除
  • Schedule K:会計方針・株主・国外取引
  • Schedule L:資産・負債・資本残高
  • Schedule M-1/M-2:会計利益と税務所得の調整

申告期限と納税

  • 申告期限:事業年度末から4か月後の15日(例:12月決算 → 翌年4月15日)¹⁵
  • 延長申請:Form 7004で6か月延長可能。ただし納税期限は延長不可。¹⁶ ¹⁷
  • 納付方法:EFTPS(Electronic Federal Tax Payment System)を通じ、クレジットカード・銀行振込・小切手で支払い可能。¹⁸ ¹⁹

州別の法人税率・安い州一覧

アメリカでは連邦法人税(21%)に加えて州法人税が課されます。拠点州によって税負担が大きく変わるため、設立前の確認が重要です。

主な州の税率比較⁴

税率
ニュージャージー州9%
イリノイ州9.5%
カリフォルニア州8.84%
フロリダ州5.5%
ハワイ州4.4~6.4%
ノースカロライナ州2.25%
テキサス州・ネバダ州・ワシントン州など法人税なし(他税で補う場合あり)

州選びの注意点

法人税がない州でも、フランチャイズ税や売上税などが課されることがあります。次の点も考慮しましょう。

  • 課税対象(ネクサス):従業員・売上がある州で課税
  • 最低税や定額課税:利益が少なくても課税される場合あり
  • 他税・報告費用:市税や年次手続き費用が発生する州も
  • 控除制度:R&Dや雇用促進など優遇措置がある州も

アメリカ法人税の計算と節税の基本

アメリカの連邦法人税の基本計算式は次の通りです。

課税所得 = 総所得 − 控除(営業費用・減価償却・損失繰越など)

この課税所得に21%の税率を掛け、税額控除を差し引いた金額が最終税額です。控除には「所得控除」と「税額控除」があり、後者にはR&D控除・雇用促進・エネルギー投資控除などがあります。²⁰

減価償却・ボーナス償却

長期資産はMACRS方式で償却し、初年度に多く費用化できます。
さらに一定資産はボーナス償却により取得年に最大100%を即時経費化可能。
中小企業はSection 179償却で一定額まで全額経費計上が認められます。²¹

米国外所得の扱い

米法人は全世界所得課税が原則ですが、以下の制度で二重課税を軽減できます。

制度対象内容
GILTI海外子会社所得控除後の実効税率約10〜13%²²
FDII海外輸出利益の37.5%控除²³
100%配当控除海外子会社配当10%以上保有分は非課税²⁴
外国税額控除海外納税額米国税から控除可能²⁵

節税するには?

  • 拠点州の選定:法人税ゼロの州でも実態に応じ課税対象となる場合あり
  • 制度活用:R&D控除・ボーナス償却・Section179など多様な優遇策
  • 専門家への相談:制度活用には税理士・会計士の助言が有効

日本とアメリカ法人税制度の違い

アメリカでは連邦法人税21%に州法人税(0〜10%)が加わり、実効税率は21〜30%前後。一方、日本は法人税約23.2%に地方法人税・法人住民税・事業税などが上乗せされ、実効税率は約30%となります。

また、アメリカは州ごとに課税ルールが異なり、複数州で事業を行うと多重課税の可能性がありますが、日本の地方法人税は全国共通基準のため地域差が小さい点が特徴です。²⁶


Wise(ワイズ):海外展開する企業の資金管理をシンプルに

Wise(ワイズ):グローバル展開する企業に最適

海外に顧客や取引先を持つ企業では、

といった課題が生じがちです。

Wise(ワイズ)の法人アカウントなら、こうした悩みを一括で解決できます。

【Wise法人アカウントの特徴】

  • グローバルな法人アカウント:個人アカウントの機能に加え、給与や請求書管理などグローバルなビジネスに便利な機能を搭載したアカウントです。
  • 無料でアカウント開設:アカウントは無料で開設でき、月額料金や維持費もかかりません(※)。
  • 低コストな海外送金:お得な為替レートと手数料で、一括で最大1000件まで送金することができます。
  • 8種類以上の現地口座情報:アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、シンガポールを含む8ヶ国以上の現地口座情報が取得可能。これにより、滞在国内での送金もよりお得に。
  • 経費用のデビットカード:メンバーごとにカードを発行して経費の支払いに利用することができます。
  • チームメンバーの管理:各従業員のアクセス管理が可能です。
  • 高額送金も可能:一度に100万円超の送金ができ、最大1億5000万円まで送金可能です(別途書類をお願いする場合があります)。
  • 日本国内の資金移動業者として登録・認可:Wiseは第一種・第二種資金移動業者として関東財務局から登録・認可を受けているので、法人でも安心してご利用いただけます。
  • 日本語スタッフによるカスタマーサポート:質問や問題がある場合は、カスタマーサポートスタッフに日本語で相談できます。
※現地口座情報を含むアカウントのアップグレードには3000円の手数料 (1回限り)がかかります。

さらに、

  • 半数以上の送金が20秒以内に着金(95%が24時間以内)
  • 最大1,000件の一括送金で経理業務を効率化
  • 月額費用なし・取引額に応じた手数料割引制度あり
  • 会計ソフト連携・ユーザー権限管理にも対応

世界で1,600万人以上/30万社以上の法人が利用し、日本でも関東財務局登録の資金移動業者として運営されています。日本語サポート(メール・電話・チャット)も充実。

Wiseで法人アカウントを開設する 🚀


アメリカ法人税にまつわる用語解説

法人税(Corporate Income Tax)

アメリカの法人税は連邦税(Federal Tax)+州税(State Tax)の二層構造。連邦税は全国一律21%、州税は0〜約10%と州ごとに異なります。

実効税率(Effective Tax Rate)

企業が実際に負担する税率。連邦21%に州税などを加えると、実効税率は最大約30%となり、日本とほぼ同水準です。

Tax Cuts and Jobs Act(TCJA)

2017年に制定されたトランプ政権の税制改革法。連邦法人税を累進課税(最大39%)から一律21%へ引き下げました。

One, Big, Beautiful Bill Act(OBBBA)

2025年に制定された税制法で、TCJAの内容を維持・恒久化。設備投資やR&Dの即時償却など、企業優遇措置が拡大されました。

GILTI/FDII

いずれも国外所得に関する制度。

  • GILTI:米企業の海外低課税所得を課税対象に含める仕組み(タックスヘイブン対策)。
  • FDII:輸出利益に対して37.5%の控除を認める制度。

申告書(Form 1120)

アメリカ法人が所得・税額を報告する申告書。企業形態により種類があり、電子申告が主流です。

グローバルミニマム税(Pillar Two)

OECDが提唱する最低15%課税ルール。トランプ政権はこの導入に慎重姿勢を示しています。


アメリカ法人税のよくある質問

米国での法人税は28%ですか?

アメリカの連邦法人税は一律21%です。ただし州法人税(0〜約10%)が加わるため、実効税率は28%前後になることもあります。

アメリカで法人税がない州はどこですか?

テキサス州、ネバダ州、オハイオ州、ワイオミング州、ワシントン州、サウスダコタ州の6州は州法人税を課していません。ただし、フランチャイズ税など別の税金がかかる場合があります。

米国の法人税は21%ですか?

はい。2025年10月現在も連邦税率は21%で、2017年のTCJA(Tax Cuts and Jobs Act)により導入され、2025年のOBBBAで恒久化されました。


まとめ

アメリカでは、連邦法人税21%+州法人税という二層構造が特徴です。州によって税率や制度が異なり、また控除・優遇制度も多岐にわたります。アメリカ進出を検討する場合は、専門家と連携して最適な税戦略を立てることが重要です。

海外取引や外貨管理のコストを抑えたい法人には、Wise(ワイズ)法人アカウントがおすすめ。

  • 米ドル口座情報を取得し、海外送金・受け取りを低コストで実現
  • 40通貨以上を1つのアカウントで保有・両替
  • 初期費用・月額費無料で即日開設

Wise image

Wiseで法人アカウントを開設する 🚀


ソース

  1. 税制 | 米国 - 北米 - 国・地域別に見る - ジェトロ
  2. Tax Cuts and Jobs Act | Congress.gov
  3. One, Big, Beautiful Act | Congress.gov
  4. State Corporate Income Tax Rates and Brackets, 2025 | Tax Foundation.org.
  5. Historical US Federal Corporate Income Tax Rates & Brackets, 1909-2025 | Tax Foundation.org
  6. 税制 | 英国 - 欧州 - 国・地域別に見る - ジェトロ
  7. 税制 | フランス - 欧州 - 国・地域別に見る - ジェトロ
  8. 税制 | ドイツ - 欧州 - 国・地域別に見る - ジェトロ
  9. 法人税率の軽減 | 中小企業庁
  10. 諸外国における法人実効税率の比較 | 財務省
  11. International Tax Changes in the One Big Beautiful Bill Act | Steptoe
  12. What the U.S. exit from OECD global tax means – GIS Reports
  13. About Form 1120, U.S. Corporation Income Tax Return | Internal Revenue Service
  14. U.S. Corporation Income Tax Return
  15. Starting or ending a business 3 | Internal Revenue Service
  16. About Form 7004, Application for Automatic Extension of Time To File Certain Business Income Tax, Information, and Other Returns | Internal Revenue Service
  17. E-filing Form 7004 (Application for Automatic Extension to File Certain Business Income Tax, Information and Other Returns) | Internal Revenue Service
  18. EFTPS: The Electronic Federal Tax Payment System | Internal Revenue Service
  19. Payments | Internal Revenue Service
  20. Credits and deductions for businesses | Internal Revenue Service
  21. Publication 946 (2024), How To Depreciate Property | Internal Revenue Service
  22. Global Intangible Low Tax Income (GILTI) | Tax Foundation.org
  23. IRC Section 250 Deduction: Foreign-Derived Intangible Income (FDII) | Internal Revenue Service
  24. Section 245A Dividends Received Deduction Overview | Internal Revenue Service
  25. Foreign Tax Credit | Internal Revenue Service
  26. 地方法人課税の概要 | 総務省

*最新の手数料に関する情報は、お住まいの地域の利用規約およびサービスの利用条件をご確認いただくか、Wiseの手数料ページをご覧ください。これは一般的な情報提供を目的としたものであり、Wise Payments Limitedまたはその子会社、関連会社による法律、税務、その他の専門的なアドバイスを意味するものではありません。また、ファイナンシャルアドバイザーやその他の専門家によるアドバイスの代わりになるものではありません。



当社は明示的または黙示的にかかわらず、この内容が正確、完全または最新であることを表明または保証しません。

国境のない金融

詳しくはこちら
海外での生活

アメリカ不動産の購入完全ガイド【価格相場・購入手続き・税金まで解説】

アメリカと日本では不動産のルールや考え方が違います。この記事ではアメリカ不動産の購入の流れや必要書類、不動産価格相場、維持管理にかかるコストなどを解説します。アメリカ不動産購入や維持管理に役立つ海外送金サービスWiseについて併せてもご紹介します。

Hikaru Osaka
2025年6月28日 10分で読めます
海外での生活

【2025年最新】アメリカ移住完全ガイド:準備から費用、ビザ取得まで

アメリカ移住にはビザの取得や生活の準備が必要です。この記事では「日本人がアメリカに移住するにはどうすればいいか」をビザや費用、仕事、準備など広い範囲で解説します。アメリカ移住で成功した経験談や後悔した経験談、海外での生活に便利なWiseのサービスなどについてもご紹介します。

Hikaru Osaka
2025年5月30日 15分で読めます
海外での生活

アメリカの電話番号: 国際電話のかけ方と注意点

アメリカから電話をかける場合や、海外からアメリカに電話をかける場合、国際電話の手順やアメリカ電話番号表記+1について知っておくことは重要です。この記事では、アメリカへの国際電話のかけ方や、アメリカの電話番号の表記方法について詳しく解説します。

Hikaru Osaka
2025年5月29日 4分で読めます

役立つ情報、ニュース、お知らせ